
仏教の宇宙を旅する|インドネシア・ボロブドゥール寺院の魅力とは?
インドネシア・ジャワ島にそびえる世界最大級の仏教遺跡、ボロブドゥール寺院。密林に埋もれていたこの巨大な石造建築は、19世紀に再発見され、現在ではユネスコ世界文化遺産にも登録される東南アジア屈指の観光名所です。この記事では、ボロブドゥールの歴史から建築、精神的意義までを詳しくご紹介します。
8~9世紀に築かれた幻の寺院
ボロブドゥールは、シャイレーンドラ朝のもと、8~9世紀にかけて建てられた仏教寺院です。大乗仏教を信仰していたこの王朝は、壮大なスケールの石造建築を築き上げ、仏教の宇宙観を表現しました。
しかし9世紀後半、火山の噴火や王朝の衰退により、寺院は密林の中へと姿を消します。その後、1814年にイギリス人トーマス・スタンフォード・ラッフルズによって再発見され、世界の注目を集めるようになりました。
宇宙観をかたどる建築構造
ボロブドゥールは、基壇1層・方形壇5層・円形壇3層からなるピラミッド型の構造を持ち、頂上には大ストゥーパがそびえ立ちます。その建築は仏教の「三界」(欲界・色界・無色界)を体現し、回廊をめぐることで参拝者は悟りへの道をたどる体験ができます。
各回廊には、約1,500面に及ぶ石彫レリーフが刻まれており、釈迦の生涯や仏教説話、ジャータカ(前世物語)などが緻密に描かれています。
精神的体験としての「立体曼荼羅」
ボロブドゥールは、単なる寺院ではなく、立体曼荼羅(まんだら)としての機能も持っています。参拝者は回廊を巡りながら、物質的欲望を脱し、精神的な解放へと向かう仏教の教えを、建築そのものから学ぶことができます。
この視覚的で身体的な体験は、ボロブドゥールを訪れる多くの巡礼者や観光客に深い感動を与えています。
ボロブドゥールの観光情報
場所:インドネシア・ジャワ島中部、マゲラン県ボロブドゥール地区
アクセス:ジョグジャカルタ市から車で約1時間半
見学のベストタイム:日の出の時間帯(要予約の特別入場券)
ボロブドゥールは、歴史的価値だけでなく、精神的・芸術的な深みを持つ希少な世界遺産です。インドネシア旅行を計画するなら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。