
タイの歴史を感じる古都・アユタヤ — 世界遺産の魅力を巡る旅
タイ中部に位置するアユタヤは、かつてアユタヤ王朝の首都として栄えた歴史的な都市。今もなお、数多くの遺跡や寺院が当時の繁栄を伝え、世界中から観光客が訪れるタイ屈指の観光スポットです。本記事では、アユタヤの歴史や見どころ、観光のポイントを詳しくご紹介します。
アユタヤとは?|かつて東南アジア随一の国際都市だった古都

アユタヤ(正式名称:テーサバーンナコーン・プラナコーンシーアユッタヤー)は、1351年にラーマーティボディー1世(ウートン王)によって建都され、タイ中部に位置するチャオプラヤー川とその支流に囲まれた戦略的な場所に築かれました。この地理的優位性から、アユタヤ王朝は約400年間にわたり、東南アジアにおける政治・経済・文化の一大中心地として繁栄しました。
17~18世紀には、ヨーロッパのポルトガル・オランダ・フランス、アジアの中国・日本・インド・ペルシャなど、世界各国との活発な交易が行われ、街には多様な文化・宗教・人種が共存していました。日本人町も存在し、朱印船貿易を通じて日本との交流も深く、山田長政のようにアユタヤ政権内で重職に就いた日本人もいたほどです。
しかし1767年、ビルマ軍(現在のミャンマー)による侵攻を受け、壮麗な宮殿や寺院は破壊され、王朝は終焉。タイの歴史における一時代が幕を閉じました。
現在のアユタヤは、こうした歴史の痕跡を今に伝える貴重な遺跡群の町として、国内外の観光客に人気です。「アユタヤ歴史公園」には、ワット・マハタートやワット・プラ・シー・サンペットなどの荘厳な遺構が点在し、その多くが1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
バンコクからは電車やバスで気軽にアクセスできるため、日帰り旅行先としても人気が高く、歴史好きはもちろん、写真映えを求める旅行者にもおすすめのスポットとなっています。
バンコクからアユタヤへのアクセス|日帰り旅行にも最適な距離感
アユタヤは、バンコクから北へ約80kmの場所に位置し、電車・バス・車・船といった複数の交通手段でアクセスが可能です。所要時間は1~2時間ほどで、日帰り旅行先としても人気の高いスポットです。
1. 電車でのアクセス(経済的&風情あり)
バンコクのフアランポーン駅または新設のクルンテープ・アピワット中央駅から、アユタヤ駅行きの国鉄列車が頻繁に運行されています。所要時間は約1.5~2時間で、料金は普通列車で20~50バーツ程度、エアコン付きの特急列車でも300バーツ以下とリーズナブル。
アユタヤ駅から遺跡エリアまでは、船でチャオプラヤー川を渡ってからレンタサイクルやトゥクトゥクで巡るのが一般的です。
おすすめポイント: ローカルな鉄道旅を楽しみたい人、コスパ重視の移動にぴったり。
2. ミニバン(バン)でのアクセス(速さと利便性)
バンコク市内のモーチット・ミニバンターミナルや、戦勝記念塔(ビクトリーモニュメント)付近からアユタヤ行きのミニバンが運行されています。所要時間は約1~1.5時間で、料金は100~150バーツ程度。乗車人数が限られているため、電車よりもやや快適でスピーディです。
おすすめポイント: 時間を効率的に使いたい人に最適。乗車後はそのまま市街中心部に到着できる場合もあります。
3. タクシー・配車アプリ(快適だけど割高)
GrabやBoltなどの配車アプリを使って、バンコク市内からアユタヤまで直接行くことも可能です。料金は片道1,000~1,500バーツ前後で、人数が多い場合や暑い時期には快適な選択肢です。ドライバーに交渉して往復&観光待機してもらうこともできます。
おすすめポイント: 家族連れやグループ旅行、ドア・ツー・ドアで移動したい場合に便利。
4. ツアーバス・チャーター(安心&日本語案内あり)
観光会社が催行する日帰りツアーでは、専用バスやバンでの移動+ガイド付きの観光がセットになっており、アユタヤが初めての人でも安心して参加できます。日本語対応のオプションも多く、歴史解説を聞きながら遺跡を巡れるのが魅力。
おすすめポイント: 観光スポットを効率よく回りたい初心者向け、歴史を深く知りたい人におすすめ。
アユタヤはバンコクから「気軽に行ける世界遺産」
バンコクに住んでいる方にとって、アユタヤは週末の小旅行に最適な行き先です。早朝に出発して、午後には主要遺跡を巡り終えることも可能。気候が穏やかな乾季(11月~2月)は特に快適で、観光にも適しています。
アユタヤの主な見どころ — 歴史を感じる寺院遺跡群
アユタヤには、栄華を極めた王朝の歴史を今に伝える遺跡や寺院が数多く点在しています。いずれもかつての王都としての威厳と宗教的精神性を感じさせる名所で、歴史好きから写真愛好家まで幅広く魅了しています。
ワット・マハタート|木の根に抱かれた仏頭で知られる聖地
アユタヤの象徴的存在といえる「ワット・マハタート(Wat Mahathat)」は、王室の宗教儀式の中心地だったとされる寺院跡です。最も有名なのは、菩提樹の根に包まれるように鎮座する仏像の頭部。この神秘的な光景は、戦火によって破壊された仏像と自然の力が融合した結果とされ、多くの旅行者がその前で手を合わせます。境内には崩れた仏塔や石仏が点在し、アユタヤ王朝時代の面影を静かに語りかけてきます。

ワット・プラ・シー・サンペット|かつての王宮敷地内にある格式高き寺院
「ワット・プラ・シー・サンペット(Wat Phra Si Sanphet)」は、アユタヤ王宮の敷地内に建立された王室専用の寺院で、一般庶民は立ち入りを許されていませんでした。かつては黄金に覆われた巨大な仏像が安置されており、三基の仏塔(チェディ)は歴代の王の遺骨を納めた霊廟とされています。現在も整然と並ぶチェディは、当時の権威と宗教的荘厳さを今に伝える美しい遺構です。

ワット・チャイワッタナラーム|夕景に映えるクメール様式の名建築
チャオプラヤー川の西岸に建つ「ワット・チャイワッタナラーム(Wat Chaiwatthanaram)」は、クメール建築様式の影響を色濃く残す壮麗な寺院です。中央の大仏塔(プラーン)を囲むように小塔が配置され、幾何学的で調和の取れた建築美が特徴。夕暮れ時には遺跡が茜色に染まり、川面に映る姿と相まって幻想的な光景が広がります。写真撮影やサンセット鑑賞の名所としても人気です。

ワット・ローカヤスターラーム|全長42mの寝釈迦仏が圧巻
「ワット・ローカヤスターラーム(Wat Lokaya Sutha)」は、巨大な寝釈迦仏(ねしゃかぶつ)で知られる寺院跡です。屋外に横たわる釈迦仏は、全長約42メートル・高さ8メートルのスケールを誇り、その穏やかな表情と荘厳な佇まいは訪れる人の心を静かに打ちます。衣をまとった姿や周囲に供えられる花々から、今なお信仰の対象であり続けていることが感じられます。建物自体はすでに崩壊しており仏像のみが残されていますが、その迫力と静寂さの対比が印象的です。
観光の合間にゆっくりと立ち寄り、祈りを捧げるのにふさわしい場所です。
アユタヤ歴史公園で巡る壮大な遺跡群
アユタヤ市内に広がる「アユタヤ歴史公園(Ayutthaya Historical Park)」は、1991年にユネスコ世界文化遺産に登録された、タイを代表する歴史遺産群です。14世紀から18世紀にかけて繁栄したアユタヤ王朝時代の寺院や王宮跡が広大な敷地内に点在し、今なお当時の栄華を静かに物語ります。
園内には、「ワット・マハタート」や「ワット・プラ・シー・サンペット」、「ワット・ローカヤスターラーム」など、歴史的にも芸術的にも価値の高い遺跡が数多く残されており、それぞれに異なる建築様式や文化的背景があります。
周遊にはレンタサイクルやトゥクトゥクが便利

アユタヤ歴史公園は非常に広いため、効率的に遺跡を巡るにはレンタサイクルやトゥクトゥクの利用がおすすめです。駅周辺や観光案内所付近では、1日50~100バーツ程度で自転車をレンタルでき、地元ドライバーと交渉してトゥクトゥクで周遊することも可能です。
特に朝や夕方は気温が比較的穏やかで、遺跡のシルエットが美しく浮かび上がる時間帯でもあります。途中でカフェや屋台に立ち寄りながら、自分のペースで散策するのもアユタヤ観光の魅力のひとつです。
文化と建築の融合を肌で感じる

遺跡群にはクメール様式やスリランカ様式など、東南アジア全域の文化的影響が見られ、アユタヤが国際都市として栄えていたことが伺えます。歴史を学ぶだけでなく、レンガ造りの仏塔や神秘的な仏像、崩れかけた回廊などの情緒的な風景は、写真映えスポットとしても人気です。
歴史ファンはもちろん、初めて訪れる人でもそのスケールと雰囲気に圧倒されることでしょう。
アユタヤは歴史のロマンと文化の深さを感じられる、タイ訪問の際にはぜひ訪れたいスポットです。ぜひ次の旅行プランに加えてみてはいかがでしょうか。