
タイ北部の古都・チェンマイ|歴史と自然、癒しが揃う街で心ゆくまで過ごす旅
タイの北部に位置するチェンマイは、「北方のバラ」と称される歴史ある美しい都市です。1296年にラーンナー王国の首都として建設されたこの街は、今なお伝統と文化を大切に守り続けています。歴史的な寺院や山々に囲まれた自然、温かい地元の人々、美味しい料理が旅人を魅了し続けています。
歴史を感じる旧市街|歩くだけでタイの過去に触れる体験

チェンマイ旧市街は、13世紀にラーンナー王朝によって築かれた城塞都市の中心で、今もその名残を色濃く残すエリアです。かつての城壁と堀に囲まれた四角い形の旧市街には、歴史的価値の高い寺院や木造家屋が点在しており、タイ北部独自の文化と信仰が息づいています。
中でも有名な「ワット・プラ・シン(Wat Phra Singh)」は、14世紀に建立されたラーンナー様式の代表格。黄金の仏塔と繊細な装飾が見どころです。また、「ワット・チェディ・ルアン(Wat Chedi Luang)」は、かつてチェンマイで最も高い仏塔を持っていた寺院で、現在も壮大なレンガ造りの遺構が残っています。
旧市街を歩けば、歴史的な寺院の間にモダンなカフェやローカル市場、木造ゲストハウスが点在し、古き良きタイと現代の心地よさが自然に溶け合った景観に出会えます。徒歩での散策はもちろん、レンタサイクルでの移動も便利で、ゆったりとした時間の流れを楽しむのにぴったりです。
山と森に囲まれた自然体験|象とふれあい、山岳民族と出会う旅

チェンマイの魅力は旧市街だけにとどまりません。市街地を少し離れるだけで、緑豊かな山々や森が広がり、大自然と触れ合えるアクティビティが豊富に用意されています。
中でも人気なのが、象の保護施設でのエシカルなふれあい体験。チェンマイ周辺には、象乗りではなく、餌やりや水浴び、森林散歩などを通じて象と自然な形で交流できる保護施設が点在しています。代表的な施設には「エレファント・ネイチャー・パーク」や「Elephant Jungle Sanctuary」などがあり、観光客によるサポートが保護活動に直結しています。
また、トレッキングを楽しみながら山岳地帯の文化に触れられるのもチェンマイならでは。ドイ・インタノン国立公園では、タイ最高峰の山を目指す本格的なコースから、滝や花畑を巡るゆるやかなルートまで、多彩な自然体験が楽しめます。
さらに、アカ族やカレン族、モン族といった山岳民族の村を訪れる少人数ツアーも人気。伝統的な高床式の家や手工芸品、民族衣装に触れることで、北タイの多様な文化背景をより深く知ることができます。
市内からは半日~1日で参加できるツアーが多く、自然と文化を同時に楽しめるチェンマイ郊外は、旅のハイライトになることでしょう。
チェンマイの食文化|北部料理と市場めぐりを堪能

チェンマイは、タイ北部の独自の食文化が色濃く残る「食の都」としても知られています。山岳地帯に根ざした食材や、ラーンナー王朝時代から続く伝統的なレシピが受け継がれており、他の地域とはひと味違ったグルメ体験が楽しめます。
代表的な北部料理には、ココナッツ風味のスープと平打ち卵麺が特徴の「カオソーイ」、ハーブとスパイスをたっぷり練り込んだ「サイウア(北部風ソーセージ)」、蒸した野菜と一緒に味わう「ナムプリック・ヌム(青唐辛子のディップ)」などがあります。これらは、ローカル食堂からおしゃれなカフェ、ナイトマーケットの屋台まで、さまざまな場所で気軽に味わうことができます。
特に人気のあるグルメスポットには、「ワロロット市場」や「トンラムヤイ市場」などの老舗マーケットがあり、新鮮な野菜や香辛料、北部特産の食材を扱う店が軒を連ねます。また、「サンデーマーケット」や「ナイトバザール」では、北部料理をはじめ、スイーツやフルーツスムージーなどの食べ歩きグルメも充実しており、夕方から夜にかけての観光に最適です。
さらに近年では、観光客向けの料理教室も人気を集めています。伝統的なレシピを学びながら、市場での買い出しから調理までを体験できるプログラムもあり、旅の思い出づくりとしてもおすすめです。
年間を通じて楽しめるイベントと気候|特に11月は絶景の季節

チェンマイは年間を通して訪れる価値のある観光地ですが、特に快適で人気が高いのは乾季(11月~2月)です。この時期は空気が澄み、日中の気温は25~30℃前後、朝晩はひんやりとした空気が心地よく、屋外での観光やアクティビティに最適な気候です。
中でも11月は、チェンマイ最大の伝統行事「イーペン祭り(Yi Peng Festival)」が開催される特別な季節。満月の夜、無数のコムローイ(ランタン)が夜空に舞い上がる光景は、まさに夢のよう。タイ全土で行われるロイクラトン祭りと同時期に開催され、水に灯篭を流す儀式と合わせて幻想的な夜を演出します。この期間はホテルの予約が混み合うため、早めの手配が推奨されます。
一方、3~5月の暑季は日中の気温が35℃を超えることもあるため、屋内の観光や水遊びに適したアクティビティが人気です。4月にはタイの旧正月にあたる「ソンクラーン(水かけ祭り)」が行われ、街中が水でびしょぬれになるほどの盛り上がりを見せます。暑さを逆手に取って楽しめるイベントです。
6~10月の雨季はスコールのような強い雨が一時的に降ることがありますが、自然が最も美しく潤う季節でもあります。観光客も比較的少ないため、ゆったりとした滞在を望む方には狙い目。郊外の山岳地帯や滝はこの時期に特に映え、写真映えする風景に出会えます。
アクセスと滞在情報|バンコクから空路で約1時間
チェンマイへのアクセスは非常に良好で、バンコクからの国内線フライトでわずか1時間~1時間20分程度。スワンナプーム空港(BKK)とドンムアン空港(DMK)の両方からLCC(格安航空会社)やフルサービスの航空会社が多数運航しており、1日に数十便の選択肢があります。
また、鉄道を利用する場合はバンコクのフアランポーン駅から約10~13時間で、夜行寝台列車が人気です。のんびりと移動したい人や現地の風景を楽しみたい人におすすめ。長距離バスもバンコク北バスターミナルから出ており、所要時間は約9~11時間です。
チェンマイ市内の移動には、「トゥクトゥク」や「ソンテウ(赤い乗り合いタクシー)」、「グラブ(配車アプリ)」が主要な交通手段。ソンテウは市内を周遊する手軽な交通手段として利用者が多く、交渉次第で貸し切りも可能です。
宿泊施設は高級リゾートホテルやブティックホテルから、リーズナブルなゲストハウス、ホステルまで多彩にそろっており、旅行スタイルに応じた選択ができます。ニマンヘミン通り周辺にはおしゃれなカフェやコワーキングスペースが点在し、長期滞在やワーケーションをするデジタルノマドにも人気です。
さらに、2020年代以降は月単位で滞在できるサービスアパートやコンドミニアムも充実しており、リモートワークや海外移住の拠点としても注目されています。
まとめ|癒しと刺激が共存するチェンマイで、あなただけの旅を
チェンマイは、歴史的な寺院や伝統文化、自然とのふれあい、美味しい郷土料理など、多彩な魅力にあふれた街です。一度訪れたら、また戻ってきたくなる——そんな“第二のふるさと”のような空気が、この街には流れています。
初めてのタイ旅行にも、旅慣れた人にもおすすめできる、心温まる目的地です。