
ローマから日帰りで行ける別世界、ティヴォリの魅力とは?
イタリア・ローマからわずか30kmの場所に位置する小さな町、ティヴォリ。古代ローマ時代には「ティブル」として知られ、皇帝や貴族たちが静養地として愛したこの町は、今でも世界中から訪れる観光客を魅了しています。荘厳な別荘群、美しい庭園、歴史を感じさせる街並み。ローマとは一味違った表情を見せるティヴォリの魅力を、見どころとともにご紹介します。
ヴィッラ・アドリアーナ|皇帝が愛した古代ローマの理想郷
ティヴォリの代表的な観光スポットである「ヴィッラ・アドリアーナ」は、ローマ皇帝ハドリアヌスが2世紀に建設した壮大な別荘遺跡です。宮殿、浴場、劇場、図書館など多彩な施設が広大な敷地に配置されており、当時のローマ建築技術や芸術の粋を集めた複合施設として知られています。遺跡は1999年にユネスコ世界遺産に登録されており、その規模と保存状態の良さから、古代ローマの帝王の生活に思いを馳せることができます。石造りの廃墟を歩くと、まるで2000年前にタイムスリップしたかのような感動を味わえるでしょう。
(参考:ユネスコ公式ページ)
https://whc.unesco.org/en/list/907/
ヴィッラ・デステ|500を超える噴水が彩る水の楽園
ルネサンス期の華やかさを体感できるのが、もう一つの世界遺産「ヴィッラ・デステ」です。16世紀に枢機卿イッポリート・デステによって建てられたこの邸宅は、何よりその庭園の美しさで知られています。人工的に水を流し続ける仕掛けが施された噴水はなんと500以上。特に「オルガンの噴水」では、水の力でオルガン音を響かせる不思議な演出が楽しめます。音と水と緑が織りなす幻想的な空間は、まさに芸術と自然の融合です。
ロッカ・ピア|町を見守る中世の要塞
ティヴォリの町を見下ろすようにそびえる「ロッカ・ピア」は、15世紀に教皇ピウス2世の命で築かれた要塞です。防衛拠点としての役割を果たしていたこの建物は、重厚な石造りで、まるで中世の物語の中に入り込んだような趣があります。現在は外観の見学が中心ですが、町の中心からすぐの場所にあるため、観光ルートに組み込むのに最適です。
シビルの神殿とアニエネ渓谷|神話と自然が交差する絶景スポット
古代の神殿建築が好きな方には、ティヴォリの「シビルの神殿」は必見です。町を流れるアニエネ川の渓谷に面して建てられたこの神殿は、紀元前2世紀ごろのものとされ、長い年月を経て今もその姿をとどめています。周囲は断崖に囲まれており、自然の雄大さと神秘的な建築のコントラストが印象的です。日の入りの時間帯に訪れると、渓谷に沈む夕日と共に、忘れられない光景が広がります。
ティヴォリへのアクセスとおすすめの食事スポット
ティヴォリへは、ローマ市内のテルミニ駅またはティブルティーナ駅から電車で約40分と、日帰り旅行に最適な距離です。地下鉄B線のポンテ・マンモロ駅からバスでのアクセスも可能で、公共交通機関を使った便利な移動ができます。
観光の合間に立ち寄りたいレストランとしては、300年以上の歴史を誇る「Ristorante Sibilla」が有名です。伝統的なローマ料理を堪能しながら、シビルの神殿近くに広がる古代の遺跡を眺めることができます。
(参考:https://www.ristorantesibilla.com/en/home-en-3/)
もう少しカジュアルに楽しみたいなら、地元ワインと旬の食材を使った料理が味わえる「Calice」もおすすめです。
(参考:https://www.calicetivoli.it/)
ティヴォリはローマ旅に深みを与える「隠れた名所」
ティヴォリは、ローマ観光のついでに…と訪れるにはもったいないほど、見どころにあふれた町です。古代とルネサンスの美が息づく空間を歩けば、イタリアという国の奥深さをあらためて実感できるはず。静かで美しく、そして少しノスタルジック。そんなティヴォリの魅力を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。