
タイ王室が愛した海辺の街|ホアヒンの魅力と見どころを徹底紹介
バンコクから車で約3時間。タイ湾に面した静かなリゾート地「ホアヒン(Hua Hin)」は、王室の避暑地として長い歴史を持ち、品のある街並みと穏やかなビーチが訪れる人を魅了します。派手な観光地とは一線を画す落ち着いた雰囲気が魅力で、家族旅行や大人のバカンスにぴったりの場所です。この記事では、ホアヒンの基本情報からおすすめスポットまで、現地の魅力を余すことなくご紹介します。
王室ゆかりのリゾート地としての歴史
ホアヒンがタイ王室と深く結びついたのは、ラマ6世(ワチラーウット王)が1923年に建設したマルカッタイヤワン宮殿(Maruekhathaiyawan Palace)が始まりとされています。この美しいチーク材建築の夏の離宮は、海辺に建つ優美な構造で「タイで最もロマンチックな宮殿」とも呼ばれています。
その後、ラマ7世(プラチャーティポック王)もこの地を好み、王族たちの避暑地としての地位がさらに高まりました。王室の関与により鉄道などのインフラ整備が進み、バンコクからのアクセスが容易になったことで、ホアヒンは上流階級の人々に愛される洗練されたビーチリゾートとして発展しました。
現在でも、タイ王室関係者が別荘や施設を所有し訪れる地として知られ、街全体には落ち着いた雰囲気と高い治安が保たれています。派手な観光地とは一線を画す、格式あるリゾート地としての魅力は今も色あせていません。
ホアヒンへのアクセス|バンコクからの行き方ガイド
バンコクから南へ約220kmに位置するホアヒンは、首都からのアクセスも良く、週末旅行や長期滞在先として人気の高いビーチリゾートです。以下に代表的な移動手段をご紹介します。
電車でのアクセス|ゆったり景色を楽しみながら移動
バンコクのクルンテープ・アピワット駅(旧ファランポーン駅)からホアヒン駅まで、1日数本の列車が運行しています。所要時間は約3~3.5時間。座席クラスによって価格は異なり、3等で90バーツほど、エアコン付きの2等・1等では最大900バーツ以上になることもあります。
列車は比較的ゆっくりですが、沿線の景色が美しく、鉄道旅ならではの情緒を味わえます。特に時間に余裕がある旅人におすすめです。
バス・ミニバンでのアクセス|コスパ重視ならこのルート
バンコクの主要バスターミナル(南バスターミナル・エカマイ・モーチットなど)から、ホアヒン行きのバスやミニバンが頻繁に出発しています。所要時間は約3~4.5時間、料金は200~450バーツ程度とリーズナブルです。
予約はオンラインや現地のカウンターでも可能。座席は指定制のことが多く、快適な移動ができます。荷物の多い人や、こまめな休憩を取りたい人にはバスがおすすめです。
タクシー・プライベート送迎|グループ旅行や快適性を重視するなら
バンコク市内や空港から直接ホアヒンへ向かうタクシーやプライベート送迎サービスも利用可能です。所要時間は約2.5~3時間、料金は1,500~2,500バーツほど。
複数人での利用ならコストパフォーマンスも良く、ドア・ツー・ドアで荷物の移動もスムーズ。小さな子ども連れや高齢者との旅行でも安心です。
空港直行バス|スワンナプーム空港からの便利な選択肢
スワンナプーム国際空港からは、ホアヒン行きのエアポートバスも運行されています。所要時間は約3.5時間、料金は約325バーツ。予約はオンラインや空港のカウンターで可能です。
飛行機到着後、乗り継ぎなしでそのまま移動できるため、初めての訪問でも安心して利用できます。
穏やかに過ごせるホアヒン・ビーチ

ホアヒンの中心部に広がる「ホアヒン・ビーチ」は、全長およそ5kmにわたって続く白砂の海岸線。バンコクから車で約3時間というアクセスの良さもあり、週末や連休にはタイ国内外から多くの旅行者が訪れます。
このビーチの最大の魅力は、落ち着いた雰囲気と静けさ。騒がしいモータースポーツ系のアクティビティは原則として制限されており、波音をBGMにゆったりとした時間を過ごすことができます。朝夕の散歩や読書、ヨガなど、心と体をリセットするには理想的な環境です。
また、ホアヒン名物ともいえる「ビーチホースライド」も体験できます。観光客向けに用意された馬にまたがり、海辺をゆっくりと歩く光景は、ビーチリゾートとしてはやや珍しく、どこかノスタルジックな魅力を感じさせます。
海水浴のほかにも、カイトサーフィンやパドルボードなど、比較的静かなウォーターアクティビティも楽しめるため、アクティブ派にもおすすめです。
ナイトマーケットで地元グルメを堪能

ホアヒンの夜の楽しみといえば、毎晩開かれる「ホアヒン・ナイトマーケット」。市内中心部、デチャヌチャ通り(Dechanuchit Rd.)周辺に広がるこのマーケットは、夕暮れから23時頃まで活気に満ち、多くの観光客や地元住民で賑わいます。
屋台には、新鮮なシーフードのグリル料理、パッタイ、ガイヤーン、カオニャオなど定番のタイ料理がずらり。貝やエビ、イカを豪快に焼いた屋台では、香ばしい匂いに誘われて長い行列ができることもあります。フルーツシェイクやロティ、マンゴースティッキーライスなどのスイーツ系も充実しており、食べ歩きが楽しいスポットです。
グルメだけでなく、手工芸品やタイならではのデザイン雑貨、Tシャツ、アクセサリーなども豊富に揃っており、ちょっとしたお土産探しにもぴったり。通りのあちこちではストリートミュージシャンの演奏が響き、リラックスした空気の中でゆったりと夜を過ごせます。
ナイトマーケットは、ホアヒンのローカル文化や人々の暮らしぶりを垣間見ることができる、観光のハイライトとも言えるスポットです。
家族で楽しめるウォーターパークも充実

ホアヒンには、家族連れで一日中楽しめるレジャー施設も豊富。その代表格が、「ヴァナ・ナヴァ・ウォーター・ジャングル(Vana Nava Water Jungle)」です。タイ初の“ウォーター・ジャングル”として知られるこの施設は、熱帯雨林をテーマにした本格的なウォーターパークで、敷地内には20種類以上のスライダーやプール、アドベンチャーゾーンが広がります。
中でも、アジア最大級のウォータースライダー「アビス」や、波のプール、流れるプールなどは大人も子どもも大満足。身長制限のあるエリアもありますが、小さな子ども向けのキッズゾーンや水遊びエリアも充実しており、ファミリー層に特に人気です。
園内は清潔で安全管理もしっかりしており、ライフガードも常駐。飲食エリアやロッカー、シャワー設備も整っていて、ストレスなく過ごせます。また、施設に隣接する「ホリデイ・イン・リゾート ヴァナ・ナヴァ ホアヒン」に宿泊すれば、入園券付きのプランや、パークビューの部屋での滞在も可能。遊んだ後はホテルでゆっくりとくつろげるのも大きな魅力です。
アクティブな観光を取り入れたい方や、子どもが飽きずに楽しめるスポットを探しているファミリー旅行者にとっては必見の施設です。
願いが叶うと評判の巨大仏像
ホアヒン中心部から車で約30分、のどかな田園地帯に佇む「ワット・フアイ・モンコン(Wat Huay Mongkol)」は、願いが叶う仏像としてタイ全土から多くの参拝者を集める有名な寺院です。ここに鎮座するのは、17世紀に実在した高僧ルアン・プー・トゥアート(Luang Pu Thuat)の巨大な座像で、高さ約12メートル、幅10メートル超の迫力ある姿は圧巻。
ルアン・プー・トゥアートは奇跡を起こした僧として広く信仰されており、病気平癒や交通安全、商売繁盛など、さまざまな願い事が叶うと信じられています。参拝者の多くが、ロウソクや線香、金箔を供えながら手を合わせる伝統的な祈願の作法を体験しており、観光とスピリチュアルな文化体験を同時に味わえる場所としても注目されています。
また、敷地内にはタイらしい仏教建築や、守護動物とされる象やガルーダの像なども点在しており、写真スポットとしても魅力的。週末や仏教行事の日には、多くのタイ人家族連れでにぎわうローカル感あふれるスポットです。
静けさと神聖さが共存するこの寺院は、ホアヒン観光のスピリチュアルなアクセントとして一度は訪れておきたい場所です。
ホアヒン観光のベストシーズンは?
ホアヒンを快適に楽しむなら、乾季にあたる11月~2月がベストシーズンです。この時期は気温が25~30℃前後と過ごしやすく、湿度も控えめ。晴天が多く、海の透明度も高まるため、ビーチリゾートならではの魅力を存分に堪能できます。クリスマスから年明けにかけては、欧米やバンコクからの観光客も多く、町全体がにぎやかな雰囲気に包まれます。
一方、雨季は6月~10月で、特に9月頃は降水量が多くなります。ただし、スコールは一時的なものであることが多く、朝晩は涼しく緑が生い茂るため、ゆったりとした滞在を楽しむには良い季節でもあります。観光客が比較的少ないため、ホテル料金も下がる傾向にあり、混雑を避けて静かに過ごしたい旅行者にはむしろ狙い目の時期です。
なお、3月~5月は暑季にあたり、日中の気温が35℃近くまで上がることもあります。強い日差しを避けて、午前中や夕方に観光を楽しむのがおすすめです。
旅行スタイルや目的に応じて、ベストな時期を選ぶことで、ホアヒンの魅力を最大限に味わうことができるでしょう。
ホテルも多彩で滞在スタイル自由自在
ホアヒンには、旅行スタイルや予算に応じて選べる多彩な宿泊施設が充実しています。かつて王族が利用した歴史あるリゾートホテルから、最新のブティックホテル、家族向けのリゾート、コスパ重視のゲストハウスまで、選択肢は豊富です。
ラグジュアリー派には、「センタラ・グランド・ビーチ・リゾート&ヴィラズ」や「インターコンチネンタル・ホアヒン」などの高級ホテルがおすすめ。ビーチフロントのロケーションで、プール越しに朝日を望む贅沢な時間が過ごせます。ホテルによっては王室ゆかりの建築様式を取り入れたクラシカルな雰囲気が魅力です。
一方、自然に囲まれた静かなヴィラタイプの宿泊施設では、プライベートプール付きの客室や、緑豊かな中庭を独占できる空間など、落ち着いた大人の滞在が叶います。特に長期滞在やカップル・ハネムーン旅行に人気です。
さらに、バックパッカーや短期旅行者には、清潔で手頃なゲストハウスやバジェットホテルも多数あり、中心地やナイトマーケット近くに集まっているため、移動にも便利。最近では、デザイン性に優れた小規模ブティックホテルや、ワーケーション向けの設備を整えたホテルも増えています。
目的や気分に応じて、自由に滞在スタイルを選べるのもホアヒンの魅力のひとつです。
まとめ|「静」と「品」を求めるならホアヒンへ
ホアヒンは、にぎやかでアクティブな観光地というよりも、落ち着きと品のある滞在を楽しむ場所。王室ゆかりの歴史や、静かなビーチ、美しい寺院、そして親しみやすい地元文化が揃い、心からリラックスできるリゾートです。バンコクからのアクセスも良好なので、タイ旅行のスケジュールに組み込んでみてはいかがでしょうか。