
東南アジア移住の人気国、タイ──デジタルノマドも子連れファミリーも惹かれる理由
日本からのアクセスの良さ、手ごろな生活費、そして豊かな自然や食文化。タイは近年、デジタルノマドから退職後の移住者、さらには子連れファミリーまで、幅広い層にとって理想的な移住先として注目を集めています。2024年以降、ビザ制度の選択肢も拡大し、より多くの人に門戸が開かれました。 本記事では、タイ移住のビザ制度、生活費、人気エリア、注意点などをわかりやすく紹介します。
タイ移住に必要なビザ制度とは?
🟩 デスティネーション・タイランド・ビザ(DTV)
導入時期:2024年7月15日以降にスタート。
有効期間:5年間/マルチエントリー。1回の渡航につき180日間滞在可能で、さらに延長で再び180日間(合計最大360日)まで滞在可能。
主な要件:
申請時に20歳以上
銀行残高50万THB以上(過去3ヶ月分)
デジタルノマド、リモートワーカー等の就業証明(国外業務、フリーランス実績など)
健康保険も必要
但し、語学学校等の短期プログラムでは申請できず、ムエタイや料理などソフトパワー関連活動で6ヶ月以上の継続が必要
注意事項:
タイ内で種類変更するとDTVが解除されるため要注意。
🟨 タイランド・エリートビザ(Thailand Elite / Privilege Visa)
概要:タイの長期滞在を前提としたゴールデンビザ。5~20年まで選べ、加入費一括払いのみで以後年会費なし(更新時も追加費用なし)。
プラン内容(2025年5月現在):
ブロンズ:5年・650,000THB
ゴールド:5年・900,000THB(年20ポイント)
プラチナ:10年・1,500,000THB(年35ポイント)
ダイヤモンド:15年・2,500,000THB(年55ポイント)
リザーブ:20年・5,000,000THB(招待制)
特典:空港VIP、入国・出国時のサポート/ラウンジ利用、行政手続き支援、ホテル・ゴルフ割引など多数。
注意事項:プランによって家族招へい可能数が変わり、ダイヤモンド以上で親子・配偶者・子供を追加可能。プラチナでも家族追加には別途費用あり。
🟦 LTRビザ(Long‑Term Resident Visa)
開始:2025年3月17日より本格運用。
対象カテゴリ:富裕層(Wealthy Global Citizen)、年金受給者(Wealthy Pensioner)、リモートワーク専門家(Work‑From‑Thailand Professionals)、高度専門職(Highly‑Skilled Professionals)。
主な条件:
富裕層:資産100万USD以上+投資50万USD以上、年収条件が撤廃
年金受給者:50歳以上+年収8万USD、または4万USD+25万USD投資
リモートワーカー:年収8万USD、または4万USD+修士号など+雇用先の収入条件は3年で5000万USDから変更
専門家:年収条件・経験年数など一部緩和
共通条件:
健康保険最低5万USD、または社保、または10万USDの預金
手数料:10年マルチエントリー50,000THB(在外申請は変動の可能性あり)
就労可だが、ワークパーミット申請必要(リモートのみ就労不要)
🟪 リタイヤメントビザ(Non‑Immigrant O‑A/O)
対象者:50歳以上で「働く意図がない」長期滞在希望者向け。
条件:
①銀行預金800,000THB以上2ヶ月以上か、②月収65,000THBの証明か、または①+②の組合せで合計800,000THB以上
健康保険加入必須、クリアな無犯罪証明書も必要
滞在要件:
1年滞在可能(更新可)、就労禁止
タイでの生活費は?地域によって大きな差
タイは日本に比べて生活費が安く、工夫すれば月10万円台での生活も可能です。ただし、地域や生活スタイルによって大きく異なります。
都市部(バンコク)での生活費例:
家賃(1LDKマンション):月15,000~40,000バーツ(約6万~15万円)
食費:月1~3万バーツ(自炊中心ならさらに節約可)
医療保険・通信費・交通費などを含めると、快適な生活には月20~30万円が目安。
地方都市・リゾート地での生活費:
チェンマイやコ・サムイなどでは物価がバンコクより低く、月10万~15万円で十分暮らせるという声もあります。自然に囲まれた穏やかな暮らしを望む人にはおすすめです。
子連れ移住のポイントと注意点
🏫 教育環境と学校費用
インターナショナルスクール:バンコクには世界水準の国際校が多くあり、施設・カリキュラムともに充実。学費は幅広く、年50万~100万THB(約170万~340万円)に達するケースもあります。
セミプライベート・英語プログラム校(EP):私立校や公立校内に設置され、年10万~30万THB程度と比較的手頃。現地文化への接点もあり、英語教育の移行期として有効。
公立校:基本的にタイ語で授業が行われ、外国人には無料ではありませんが、語学学習目的で選ぶ家庭も。費用は区や学年により異なります。
🧾 ビザ手続き——家族帯同(Non‑Immigrant Oビザ)
基本内容:外国人が労働やリタイアメントビザでタイに滞在する際、配偶者・子供は「Oビザ(Follower/Dependent)」で家族帯同できます。初回は90日、現地で1年単位の延長可。
金融要件:最低でも400,000THB(約136万円)相当の預金、または月収40,000THB以上の証明が必要。子供の教育のための「Guardian Visa」では500,000THBの預金が30日以上必要との情報も。
手続き要件:出生証明書や家族関係証明(婚姻証書など)、滞在している保護者の就労許可やビザ証明が必須。
🏥 医療環境と保険
病院の選び方:私立・国際病院(例:Bumrungrad, Samitivej, BNH)は英語対応で安心。ただし待ち時間短縮には有料プランも検討必要。
医療費の目安:小児診療は500–3,000THB、予防接種1,000–5,000THB、入院は10,000–50,000THB/日程度。特に子ども保険は高額で、病気や入院時に備えた海外医療保険加入が必須です。
健康リスク:特に幼児期は季節性ウイルス(インフル、RSV等)にかかりやすく、高額医療費がかかる可能性も。予防接種計画と併せて保険選びが重要です。
⚠️ 注意点まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
学費 | インターナショナルスクールでは年間50万~100万THB以上。補習・教材費・課外活動費も追加。 |
言語&カリキュラム | EP校は英語とタイ文化両立可。プログラム内容や教師の質チェックが必要。 |
滞在申請要件 | 金融条件や関係証明は厳格。書類不備があると遅延・申請拒否もあり得ます。 |
医療コスト | 子供は一般診療でも高額。民間保険で備えるのが安心。 |
移住先として人気のエリア
バンコク
タイの首都。インフラ、病院、教育機関が充実しており、日本人コミュニティも豊富。都市的な利便性を重視する人におすすめ。
チェンマイ
北部の古都。落ち着いた雰囲気と自然の豊かさが魅力。生活コストが低く、リタイア層やノマドに人気。
コ・サムイ/プーケット/パタヤ
海のそばで暮らしたい人に人気。観光地でもあるため、英語が通じやすく、ローカルと観光が融合した生活スタイルが可能です。
移住を成功させるためのステップ
ライフスタイルに合ったビザを選ぶ
└ デジタルノマド、リタイアメント、家族帯同など目的に応じて選択現地の生活を一度体験する
└ 数週間~数ヶ月のショートステイで生活環境や気候を体感現地のエージェントや専門家に相談する
└ ビザ申請、住宅探し、学校手配などのサポートが得られる
まとめ:多様なライフスタイルを受け入れる国、タイ
物価の安さだけでなく、治安の良さ、人々の温かさ、自然と都市が共存する生活スタイルなど、タイは多くの魅力を持っています。2024年以降のビザ制度の多様化により、これまで以上に柔軟な移住プランが可能になりました。
リゾートのような暮らしを日常に。タイ移住は、今こそ現実的な選択肢のひとつです。