ベトナム移住ガイド|物価の安さと活気ある都市で注目の移住先

ベトナム移住ガイド|物価の安さと活気ある都市で注目の移住先

東南アジアの中でも急成長を遂げるベトナム。物価の安さに加え、ホーチミンやハノイなどの都市では現代的な暮らしも実現可能で、フリーランスやリモートワーカーの移住先としても注目されています。この記事では、ベトナム移住を検討している方に向けて、ビザ・住居・医療・仕事・リスクなどの主要ポイントを網羅的に解説します。

ベトナムの生活費と暮らしやすさ

ベトナムは物価が非常に安く、都市部でも家賃や外食費が日本の半分以下ということも。例えば、ホーチミン市内での1LDKの家賃は月300~500ドル程度、ローカルレストランでの食事は1~2ドルほどで済みます。都市によってはコンドミニアムもリーズナブルで、ゆとりある生活が実現可能です。

また、生活費が安いだけでなく、現地ではカフェ文化が根付き、Wi-Fi環境も良好。リモートワーカーにとって非常に快適な生活環境が整っています。

就労・ビザ|ワークビザとゴールデンビザの最新事情

◆ LDビザ(就労ビザ/労働ビザ)

ベトナムで正規雇用として働くには、基本的に LD2ビザ(ワークビザ)と 労働許可証(Work Permit)が必要です。

  • LD2ビザ+労働許可証

    • 雇用企業が労働省(MOLISA)に申請を行い、15営業日程度で労働供給の許認可を取得、さらに許可証取得まで5営業日程度。全体で1.5~2ヶ月が目安です

    • 申請には、申請者の学位や職歴証明、健康診断書、無犯罪証明書(発行180日以内)、役職または専門家としての実績証明などが必要です

    • 労働許可証は原則最大2年(1回の更新可)、LDビザもその同じ期間、マルチエントリー付きで発行されます

  • LD1ビザ(許可証免除者)

    • 短期の専門職や条約対象者など、労働許可証が免除される場合に発行されます。会社側が「免除証明書」を取得して取得します

  • 更新・転職・国内申請

    • 海外出国せずとも国内でLDビザ延長・変更(転職時など)が可能で、通常処理は入国管理局で5営業日程度。延長・更新には就労許可証の有効期間が必要です

  • 違法就労のリスク

    • 観光ビザで働くことは禁止。罰金(最大約$3,000相当)+強制退去など、法的ペナルティが課されます

  • コスト目安(2025年)

    • 労働許可証の申請費用は約₫400,000(約20 USD)、更新時は₫300,000前後。LDビザ申請費用は、5 USD~155 USD(シングル/マルチ区分、期間による)

◆ ゴールデンビザ/DTビザ(投資・高度人材向け長期滞在ビザ)

  • 10年ゴールデンビザ導入(提案フェーズ)

    • 2025年5月、政府は試行的にホーチミン・ハノイ・ダナン・プーコック等で、最大10年滞在可能な「ゴールデンビザ」を導入予定と発表

    • 5~10年の複数ビザ区分で、投資家・高度人材・リタイア層・ノマドワーカーなどを対象に想定されています

  • 既存の投資ビザ(DT1~DT4)

    • すでに存在する投資家向けのDTビザは、投資額に応じ1~5年の滞在が可能です

    • ゴールデンビザ導入後は、投資家ビザとの差別化、要件の整理(不動産:最低25万USD、事業投資:10万~30万USDなど)も進む見通しです

  • 永住権・市民権への道筋

    • ゴールデンビザまたは投資ビザで継続居住後、永住権申請が可能になる制度整備が進行中です。

◆ 最新動向まとめ

ビザ種別対象有効期間ポイント
LD2通常就労者2年(最大更新4年)雇用企業がスポンサー、労働許可証+LD2発行必要
LD1労働許可免除対象職最大2年条約対象/専門職など限定
ゴールデンビザ投資家・高度人材等最大10年(予定)DTビザ制度の上位版、家族帯同・永住申請等に有利
DT1~4投資家1~5年投資金額に応じ区分、投資から始まる長期滞在

◆ 現地雇用・就労の背景

  • 英語教育・IT分野を中心に継続的な需要

    • 英語教師・ITエンジニア・マーケティング職など、外国人採用市場は堅調。英語ネイティブや専門スキル保有者は依然として強みを持ちます

  • 手続き対応には専門家活用を推奨

    • 書類(職務説明、資格証明、翻訳、公証)や許認可手続きは煩雑かつ更新頻度が高いため、現地専門家や法務サービスの活用が安心です

住居環境|都市部中心に外国人向け住宅も充実

◆ ホーチミン市:2区(Thảo Điền・An Phu)と7区(Phú Mỹ Hưng)

District 2(Thảo Điền/An Phu) は外国人が集まる定番エリアで、国際学校や高級マンション、コンドミニアムが充実しています。

  • 家賃はスタジオで月約 500–800 USD、2ベッドルームで800–1,300 USDと、都会の快適さを考えればコスパが良い水準です

  • マスターリ・タオディエン、Lumiere Riverside といった設備充実物件も多く、ジム・プール・24時間警備付き。国際学校(BIS、ISHCMC など)へもアクセス良好です

  • 一方、洪水時や大雨時には下水逆流・冠水のリスクもある点に注意が必要です

District 7(Phú Mỹ Hưng) はファミリー層に人気の落ち着いた住宅街。

  • 外国人向け賃貸の約40%を占める人気エリアで、緑豊かでモール・病院・学校などインフラが整っています

  • 家賃は2ベッドルームで約 500–800 USD(13–20万VND)といったレンジが一般的

◆ ハノイ市:西湖(Tay Ho)・バーディン区(Trúc Bạch・Ba Đình)

Tây Hồ(西湖)地区 は自然豊かで国際感溢れる住宅地。

  • スタジオが約 400–700 USD、1ベッドが600–1,200 USD、2ベッドで900–1,800 USD、3ベッド以上だと1,500–3,000 USD の広範な家賃帯

  • 高層コンドミニアムやサービスアパートは家具・清掃付き、ジム・セキュリティも完備。ライブコミュニティや雰囲気も魅力

  • Trúc Bạch のプライベート1BRは$650–800/月程度で提供されることも

Ba Đình区 は市の政治・歴史中心地で、外交官や公館も集中。

  • Trúc BạchやLiễu Giaiエリアの3BRで1,450–1,700 USD、1BRが400–700 USDと広めの幅

  • 中心地に近く利便性良好で、家具完備の選択肢も豊富です 。

◆ 地方都市・郊外とファミリー向け選択肢

  • ハノイやホーチミン以外の地方都市では、賃料はさらに安くなりますが、国際教育機関や医療インフラ、英語対応などが限定的な場合があります。

  • 家族がいる場合、都市部のエリア(2区・7区・西湖・バーディン)が安心です。

  • 寮タイプ、ホームシェア、ステューデント向け住居(例:Đống Đa地区で学生向け350 USDスタジオあり)といった選択肢もあります

◆ ポイントと注意点

項目内容
家賃相場都市部でスタジオ500–800 USD、2BR800–1,800 USD、3BR以上1,500–3,500 USD程度
生活設備家具・清掃・プール・ジム・セキュリティ完備が一般的
学校・病院国際学校・医療機関へのアクセス良好(都市部)
リスク洪水・下水逆流などの自然災害、渋滞・交通、融通の利かない契約
ローカル物件Airbnbから始めて現地エージェントやSNS経由で掘り出し物件を探すのが鉄則

 

都市部での移住を考えるなら、ホーチミン2区・7区ハノイ西湖・バーディン区 は快適でインフラ整備されたエリアで、特に家族や長期滞在に向いています。地方都市を狙えばコストは下がりますが、生活環境のインフラ確認が必要です。

医療と保険|都市圏なら安心、海外保険は必須

都市部には国際基準の病院(例:FV病院、Vinmecなど)があり、英語での対応も可能です。初診料は20~50ドル程度が一般的ですが、高度な治療や入院が必要な場合には高額になることも。現地の医療保険制度は整備途中のため、日本人を含む外国人の多くは海外旅行保険や駐在員保険に加入しています。

一方、公立病院は非常に安価ですが、混雑や衛生面、言語の壁といった懸念もあるため、急病時の備えとして民間の医療機関を活用するのが無難です。

文化とインフラ|活気ある社会と交通事情

ベトナムは親しみやすくフレンドリーな国民性で、外国人にもオープンな雰囲気があります。仏教や儒教の影響を受けた文化が色濃く残っており、旧正月(テト)などの伝統行事も大切にされています。

一方で、交通インフラはまだ整備中であり、バイクが主流。都市部では渋滞や排気ガスによる大気汚染も課題です。また、インターネットは比較的高速ですが、一部の西側サイトが規制対象となることもあります。

移住におけるリスクと対策

気候は高温多湿で、北部では冬に気温が下がります。台風や洪水などの自然災害リスクにも留意が必要です。特にデング熱や蚊媒介感染症への対策として、虫よけや蚊帳の使用などの工夫が求められます。

また、行政手続きは煩雑で、法制度の変更も多いため、ビザ更新や居住手続きには専門家のサポートや最新情報の確認が欠かせません。

まとめ|ベトナム移住は「準備次第で快適」な選択肢

ベトナムは、物価の安さや急成長する都市生活、豊かな文化を享受できる移住先です。一方で、大気汚染やビザ制度の複雑さといった現地特有の課題もあります。移住を成功させるには、都市選びや医療体制の確認、正確な情報収集といった「事前の準備」が不可欠です。

将来の拠点として、あるいはリモートワークの滞在先として、ベトナムは多くの可能性を秘めた魅力的な国です。

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